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回収冷媒の再生処理方式



1.再生方法の種類

フルオロカーボンの再生には、表1に示す様に、現場で手軽にできる簡易再生と新品に近い品質になる蒸留再生の二通りがあります。
現場でできる再生は簡易再生で、回収した冷媒を油分離器、フィルタドライヤを通して、油分、水分、酸分、パーティクルなど混ざった不純分を物理的に取り除く方式です。
蒸留再生設備により蒸留再生をすれば、各種の設備に再利用することが可能になります。特に蒸留精製式は全く新品と同じ品質まで再生することができる方式で、RRCでは蒸留精製式による再生事業所を認定しています。

表1  フルオロカーボンの再生処理方式

2.簡易再生

回収装置には、再生機能付きのものがあり、回収した冷媒を、その現場ですぐ再充塡再利用する場合は、再生機能を使用するとメリットがあります。 簡易再生機能は、油分離器、ごみを除去するフィルタ、活性アルミナ等を充塡したドライヤから成り立っています。 回収した冷媒をこの再生機能を通すことで浄化することになります。表2で示すように、簡易再生機での再生品質には限界があり (冷媒に混入した空気(非凝縮ガス)の除去ができないなど)、再利用先は限定されます。

表2  冷媒再生方式による再生品質比較

簡易再生には以下の2種類の方式があります。

2-1.ワンパス式(図3)
回収する冷媒を回収サイクル中に配備されている油分離器、フィルタドライヤなどを通過させてから容器に回収する方式です。 この方式では、回収した冷媒は一度だけ浄化機能を通過するだけなので、ワンパス式といわれています。

2-2.循環式
回収冷媒を、フィルタドライヤを循環させて再生度合いを高めるように配慮した方式です。内蔵の受液器にまず回収して、 循環ポンプで循環浄化する浄化サイクルを持つ方式(図4)や、回収冷媒を回収サイクル中に配備されている油分離器、 フィルタドライヤを通過させて容器に回収しますが、電磁弁の切替で再生回路になり回収容器内の冷媒を再度循環再生できる方式(図5)などがあります。

3.蒸留再生

蒸留再生方式は簡易蒸留再生と蒸留塔による蒸留精製の2方式があります。

3-1.簡易蒸留再生
簡易蒸留再生は、回収冷媒を一度気化させ,再度液化させることで不純物を除去する再生方式です(図6)。 蒸留精製式に比べ性能は劣るが,油分離,冷媒に混入した空気(非凝縮ガス)の除去は可能です。 この簡易蒸留再生で再生した冷媒は、再生前の品質により再生後の品質に影響がでることがあり、 純度の高い受入冷媒を選定して再生することで,再生を行うことができます。

3-2.蒸留塔による蒸留精製再生
回収冷媒を,蒸留塔内で気化-液化というサイクルを効率よく起こさせ,性能を向上させた再生方式です(図7)。 不純物の除去性能が高く,再生処理量も多く、純度(全冷媒中の目的とする冷媒の濃度)を向上するためにもっともよく使われる方式です。

 以上のようにそれぞれの処理方式に特徴がありますが,再生冷媒としての必要な能力,効率を失うことなく,安定した品質の再生品を市場に供給できるかという点では,蒸留精製式に優位性があると言えます。
2025年6月時点、蒸留塔による蒸留精製式による再生事業所をRRCでは4か所認定しており、その再生冷媒の品質基準は、「再生事業の説明」にある内容に準じており、いずれの再生冷媒もJIS基準を満足しています。


(文献)
1)冷媒回収推進・技術センター「冷媒回収処理技術」
2)冷凍2024年9月号第99巻第1158号 「使用済み回収フロンの再生処理について」